リジェネラティヴな都市とは〜WIRED Conference 2021 DAY1の見どころ:SZ Newsletter VOL.103[CITY]

いよいよ来週に迫ったWIRED Conference 2021。その初日Day1のテーマが「CITY」だ。このパンデミックを経て、はたして都市はいかに再生し、あるいは「再生する未来」をその先に提示できるのだろうか? スマートシティから都市の再自然化まで、SZメンバーシップ宛ての今週の編集長からのニュースレターは、いま都市を語る上で絶対に欠かすことのできない視点を提示し、併せてカンファレンスDay1の豪華登壇者とその見どころを紹介する。

ジェイン・ジェイコブズのストリートスマート:都市開発の何が正しく、何が間違っていたのか

あなたが左派か右派かによって、ジェイン・ジェイコブズの評価は大規模都市開発に反対するコミュニティの代表なのか、あるいは都市における自発的な問題解決を信奉する自由主義者なのかに分かれるだろう。都市とはストリートであるという彼女の原則は正しかった一方で、いまとなってはその主張が間違いだったと分かる点もある。スマートシティが標榜される現在、無計画で即興的な通りや街角からなる都市を理想としたジェイコブズからわたしたちが継承できること。

都市こそが生態系保全や生物多様性の鍵を握るという「自然保護論者のパラドックス」

ヤマネコ、コヨーテ、ムササビ、カワウソ……これまであり得なかった多様な動物が都市部で目撃されるにつれ、研究者たちは、都市こそが生物多様性の促進において重要な役割を果たすと考えるようになっている。都市化が生物種や生態系に大きな脅威を与え続けている一方で、都市が多様な生息環境であふれているという「自然保護論者のパラドックス」が起こっているのだ。都市保全生物学というこの新たな分野は、都市こそ「保全が完全に成功する場所だ」と考えている。

都市はコンピューターではない:スマートシティ、危険なメタファー、よりよい都市の未来

都市とは機械であり、動物であり、エコシステムだと言われる。あるいはスマートシティの時代には、都市はコンピューターというメタファーで語らる。だがシャノン・マターンの新刊『A City Is Not a Computer』では、こうした比喩が20世紀の都市計画や都市生活をいかに台無しにしてきたかを徹底的に掘り下げている。より快適で安全なコミュニティの構築を阻む都市データのパノプティコンと、それを語る比喩についての考察。

Paris is taking space back from cars. Here’s how.

The Liberation of Paris From Cars Is Working – “The French capital is quickly cutting automobiles out of daily life. David Belliard is the deputy mayor behind it.”[1,2] (previously) Over the past six years, Paris has done more than almost any city in t…

The Innovation of Modular Housing: How Buildings Learn Pattern Languages

Apartments Built on an Assembly Line [ungated] – “The pandemic put a general crimp in housing construction, but made a California factory that churns out prefabricated housing extra busy.”[1,2] Mr. Holliday, who co-founded the factory with Larry Pace, …

パンデミックによる人々の移住は、「小都市再生」のチャンスとなるか

新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、米国では大都市から郊外へと移住する人が増えている。こうしたなか、ベッドタウンと呼ばれる郊外の街や小都市は都市開発の立案に苦戦している。先が見えないなか、新しい住民のために何を準備すればいいのだろうか。

エディブル・ランドスケープが生み出すネイバーフッド──山崎亮:フードイノヴェイションの未来像(第6回)

コミュニティデザインにおける「食」の重要性とは?というお題に対して、コミュニティメンバーの視界に美味しい食べ物がどれだけ見えているかという「食視率」の概念からその本質を軽やかに提示してみせた山崎亮。市民が持続可能なかたちで自発的に参画するコミュニティデザインに携わり続けてきた山崎が、ネイバーフッドから始まる食の可能性を語った「フードイノヴェイションの未来像」第6回のダイジェストをお届けする。

東京のデジタルツインが地域の自律分散型コミュニティを加速する:WIRED特区 有楽町SAAIでプロデューサー古田秘馬と考える

「大丸有」と呼ばれる都心の一等地の意味と文脈が急速に変わり、地域分散がいよいよ現実化してきた現在、その先にあるローカル経済圏と東京の関係とはいかなるものになるのか? これまで「丸の内朝大学」や「有楽町SAAI」のプロデュースにかかわる一方で数々の地域発のコミュニティづくりを手がけてきたプロデューサー古田秘馬に訊いた。