不可能への挑戦という宿命:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、『DUNE/デューン 砂の惑星』を語る

映像化が不可能とされてきたフランク・ハーバートの小説を原作とする映画『DUNE/デューン 砂の惑星』が日本で公開された。監督のドゥニ・ヴィルヌーヴにとって「最大の夢のひとつ」だったという大作の映画化を、いかに彼はなし遂げたのか──。その情熱と“不可能”を可能にした道のりについて、ヴィルヌーヴが語った。

東京と鎌倉の間のハイパーオブジェクト:SZ Newsletter VOL.95[ENVIRONMENT]

環境哲学者ティモシー・モートンは、わたしたちの世界に実在しながら人間的な尺度を超えた存在を「ハイパーオブジェクト」と定義した。そのひとつは、東京と鎌倉の間、日常のすぐ隣りにサイバーパンク的なパラレルワールドとして拡がっている。SZメンバーシップの今週のテーマ「ENVIRONMENT」について、都市でも自然でもない第三項としてのハイパーオブジェクトを提示する編集長からのニュースレター。

東京オリンピックの首都美化運動とサイバーパンク:SZ Newsletter VOL.94[Sci-Fi]

東京オリンピックに向けて行なわれた「首都美化運動」は日本人のアイデンティティすらをも変えるものだった。だがその後、サイバーパンクといったSFジャンルで舞台となるTOKYOやCHIBAで描かれたのは、当時一掃しようとした混沌の側の世界だ。SZメンバーシップの今週のテーマ「Sci-Fi」から、「デザイン・フィクション」や「SFプロトタイピング」の可能性を考える編集長からのニュースレター。

「史上最高のSF作家」を自称したR.A.ラファティの正体

ニール・ゲイマンやサミュエル・ディレイニー、ハーラン・エリスンなどSF作家たちが愛読しながら、一般にはほとんど読まれなかったSF作家がR・A・ラファティだ。その狂った酔っ払いのような散文は意味を成していないかに見える一方、たった一文でSFを究極の真理のレヴェルにまで高めてみせる。「SFジャンルで最も価値のある本のいくつかはラファティの描く奇妙な非ユートピアに根ざしている」とさえ言われる「SF作家向けのSF作家」の正体に迫る。

現実はかつてないほどサイバーパンクの世界に近づいている:マイク・ポンスミス、サイバーパンクの復活を語る

サイバーパンクの世界では、テクノロジーが奇跡を起こす力をもち、人々は権力を求めてもがき、未来は不透明で、企業は神の力を手にしている。いまなぜ、このSFジャンルが好調なのか? その生みの親のひとりであるマイク・ポンスミスは、この世界が10年後か20年後にどうなっているかを描いているからだと語る。不確実さが増し、人々の無力感がますます高まる時代に彼がサイバーパンクのジャンルに見た希望のメッセージとは。

SFが生み出した造語を網羅する「SF歴史辞典」は、“未来を予測してきた過去”を編み上げる

スペースコロニーの初登場から超空間へ最初にジャンプした人物までを網羅する「SF歴史辞典」は、SFがこの1世紀で定義してきた造語(および新解釈)の歴史を1,800項目にもわたって網羅している。「未来を予測することを使命としていた過去の記録」であるそれは、SFというジャンルを再定義するだけでなく、造語や新解釈がさまざまな作家の作品間でつながり合っている事実を明らかにすることで、こうした言葉に現実世界での物語も与えている。

SF用語の歴史がつなぐマルチヴァースへの旅路、今月注目のストーリー:SNEAK PEEKS at SZ MEMBERSHIP(2021年8月)

未来をプロトタイピングする『WIRED』日本版の実験区である「SZメンバーシップ」で会員向けにお届けする8月各週の記事のテーマは、「Sci-Fi」「ENVIRONMENT」「VACCINE」「DIVERSITY」だ。7月のコンテンツやイヴェントの内容を振り返りながら、8月公開予定の記事から注目のストーリーを紹介する。

SF作家かあるいは預言者か? 中国SFと陳楸帆の「空想科学リアリズム」

国内であらゆる文学賞を受賞し、近年評価の高い作家を数多く輩出する中国SFの第一人者となった陳楸帆(ちんしゅうはん)。代表作『荒潮』は国内外で注目を集め、評論家は彼のことを「中国のウィリアム・ギブスン」と称賛する。だが中国人SF作家は商業的な圧力だけでなく、政治的な風向きにも敏感でなければならないし、地政学的な覇権争いにも巻き込まれている。中国の現実に「空想科学リアリズム」で対峙する陳の超現実的な生活に追る。