物議を醸し出す作品を世に送り出してきた現代アーティスト、ヴィル・デルボアの「TIM」をモチーフにした『皮膚を売った男』は、「自由」と引き換えに「芸術作品」となったシリア難民が主人公の挑発的な傑作だ。“悪魔の取引”で手に入れた「自由」は、果たして幸福へのパスポートなのか。チュニジア出身の気鋭の女性監督カウテール・ベン・ハニアが、野心作で描き出すアート界の欺瞞とダイヴァーシティ。
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カーボンネガティヴなコンクリートをつくる:世界で進む「脱炭素化」の試み
わたしたちの暮らしと密接にかかわっている一方で、世界のCO2総排出量の4%以上を排出しているコンクリート。いま世界では、素材や製造方法、硬化の手法などさまざまな過程でコンクリートを脱炭素化する方法が試みられている。
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ドローンによる「重要インフラへの攻撃」という脅威が、いまや現実になり始めた
米国の変電所で、ドローンによる“攻撃未遂”が発生していたことが明らかになった。ドローンから垂らした導線で送電線をショートさせる目的だった可能性が高く、ドローンによる攻撃の脅威が現実になりつつあることを改めて浮き彫りにしている。
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日本発の「宇宙向け汎用ロボット」が、国際宇宙ステーションでの実証実験に成功したことの大きな意味
宇宙ロボットスタートアップのGITAIが、国際宇宙ステーション(ISS)での汎⽤ロボットの技術実証実験を成功させた。汎用のロボットアームによる宇宙での作業が可能であることを実証した今回の実験の先には、ISS船外での作業という次なるステップ、そして月面基地やスペースコロニーの建設といったニーズも視野に入る。
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行動遺伝学とリベラルな進歩主義者との闘い(第2部):予測医療の幕開け
行動遺伝学者のキャスリン・ペイジ・ハーデンは著書『The Genetic Lottery: Why DNA Matters for Social Equality(遺伝の宝くじ──社会の平等とDNAの関係)』[未邦訳]によって、右派には遺伝子がすべてではないことを、左派には介入するのは考えるよりもはるかに難しいことを伝えようとする。ヒトゲノム解析によって遺伝子に基づく予測医療が進む時代に、最新の遺伝学を議論することはいかに可能だろうか? その迷宮をめ…
フェイスブックの「世界を高速インターネットでつなぐ」計画に高まる懸念
メタに社名変更した旧フェイスブックが、世界中に高速インターネットアクセスを提供するプロジェクト「Facebook Connectivity」を発表した。地球上の10億人以上の人々を高速インターネットでつなぐというこの計画。個人情報を巡るさまざまな問題が顕在化してきた同社だけに、インターネットインフラへの関与に懸念を示す声も上がっている。
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ザ・ノース・フェイスの創業者と考える、人と自然の「共生」を促すテクノロジーとデザインのあり方:ケネス・“ハップ”・クロップ×渡辺貴生
さまざまなテクノロジーが高度化し、その構成要素のブラックボックス化が加速している今日、人間が培ってきた「道具との付き合い方」、とりわけ「人と自然の共生を促すための道具」はどのようにアップデートしていけるのだろうか。そんなWIRED編集部からの問いかけに対し、ザ・ノース・フェイスの創業者ケネス・“ハップ”・クロップと、ザ・ノース・フェイスの国内商標権をもつゴールドウインの社長・渡辺貴生が、バックミンスター・フラー、ヘンリー・デイヴィッド・ソロー、カート…
グーグルの独自チップ「Tensor」は、スマートフォンのセキュリティに重要な進歩をもたらした
グーグルが発売したスマートフォンの最新モデル「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」には、独自開発のプロセッサー「Tensor」が搭載されている。このチップによる複雑な機械学習アルゴリズムの処理は数々の新機能をもたらしたが、実はセキュリティにおいても重要な進歩を遂げている。
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香港の民主化運動に関連して、大勢の人々のiPhoneやMacがハッカーに狙われている
香港を拠点とするメディアや民主主義推進派のウェブサイトにアクセスしたアップル製の端末に、マルウェアがインストールされていたことが明らかになった。ウェブサイトにアクセスしたiPhoneやMacに無差別にバックドアを仕掛けるもので、その攻撃対象は広範囲に及んでいる。
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行動遺伝学とリベラルな進歩主義者との闘い(第1部):遺伝主義左派と人種差別主義
行動遺伝学者のキャスリン・ペイジ・ハーデンは、ふたつの最前線で闘いを挑んでいる。左には遺伝子など重要ではないと主張する人々がいる。右を見れば遺伝こそが重要だと考える人たちがいる。行動遺伝学の歴史は、この両陣営との闘いの歴史だ。遺伝子の差異は確かに人生を左右する。それを無視した平等主義は、科学データの選り好みであり知的一貫性に欠ける態度だ。では、優生学に陥らずに最新の遺伝学を議論することはいかに可能だろうか? その迷宮をめぐる短期連載。
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