コロナ禍で世界経済を回復させるには、地域間格差が深刻な課題になる:「THE WORLD IN 2022」 GLOBAL ECONOMY

このコロナ禍から世界が前へと進むためには、力強い経済成長が欠かせない。ところが、すでに経済成長を促す施策が限界に達しつつあるうえに、先進国と途上国との間にワクチン接種率の大きな格差が存在する。こうした状態が続く限りは、ボーダレスである世界経済が再び成長軌道に乗ることは困難になる可能性が高い。

環境に優しいEVバッテリーのために、クローズドループのリサイクルに挑む

2020年代が終わるころには全世界で数百万のEV用バッテリーが役目を終えると考えられている。投資家たちはそうした大量のバッテリーを破砕して再利用すると謳うスタートアップに数十億ドルを投じているが、そもそもバッテリーパック自体を、多くのエネルギーを少ないスペースに詰め込むように設計するのではなく、リサイクルを前提にデザインすべきだと考える企業も現れている。

木星の巨大サイクロンの謎は、地球の「海洋学」で解き明かせる:米国の研究チームが初めて証明

木星に渦巻く巨大なサイクロンが形成されるメカニズムを、米国の研究チームが解明した。この研究者たちは地球の海洋学の専門家で、木星でサイクロンを生み出す物理的な力とエネルギー源を、地球上で見られる対流現象によって説明できることを初めて証明したことになる。

セラノス創業者のエリザベス・ホームズが有罪になれど、シリコンヴァレーの「システムそのもの」は変わらない

あらゆる病気を血液1滴で発見できると謳い、のちに虚偽だったことが明らかになったセラノス創業者のエリザベス・ホームズ。詐欺などの罪で起訴されていた裁判で有罪の評決が下されたが、彼女の“罪”を生み出すことになったシリコンヴァレーのシステムそのものは、残念ながら裁判にかけられなかった──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィによる考察。

地球温暖化で、人類がこれまで逃れてきた真菌感染症を恐れるときがきた

人類は長い間、温かい血液のおかげで真菌の感染から守られてきた。しかし、気候変動がそれを台無しにするかもしれない。近年、カエルツボカビ症が世界中の両生類に壊滅的な打撃を与えているように、地球温暖化が進めば、真菌感染に耐性をもっていた温血種の生物にも感染が拡がる可能性がある。すでに世界では、毎年3億人以上が深刻な真菌感染症にかかっている。人類は、真菌類という地上で最大の王国についていまこそ学ばなければならない。

映画『ドント・ルック・アップ』からは、気候変動に立ち向かう科学者たちの「やりきれなさ」が浮かび上がってくる

地球に衝突しようとしている彗星を科学者たちが発見したにもかかわらず、誰からも真剣にとり合ってもらえない──。まるで現実の地球で起きている気候変動についての議論を思わせる映画『ドント・ルック・アップ』。映画のなかで問題に立ち向かう科学者たちの姿からは、気候変動に立ち向かう科学者たちの「やりきれなさ」が浮かび上がってくる。

CES 2022:「自律走行車」が、一部の分野で現実のものになり始めた

世界最大級の家電見本市「CES 2022」では、さまざまな企業が自律走行車に関する取り組みを発表した。こうしたなか、自動運転技術の開発に取り組むふたりのキーパーソンへのインタヴューからは、すでに一部の分野において“自律走行”が現実のものになりつつあること、そして実用段階ゆえの課題が改めて浮き彫りになってくる。

深刻化する都市のヒートアイランド現象への対策は、副作用とのトレードオフとなる

都市部は周辺地域に比べて約10℃も気温が高くなることがあるが、緑地や、日光を反射する素材を使った舗装によって、都市生活をより凌ぎやすいものにすることは可能だ。だが意図しない副作用もある。クール素材を建物や舗装に使うことで海風を弱めたり、歩行者を熱したりする他、地域の緑化がグリーン・ジェントリフィケーションを引き起こすこともある。都市熱に関する科学的研究はまだ始まったばかりだ。

映画の「成功」の基準を見直すときがやってきた? ハリウッド超大作の“明暗”に見る「興行収入」という指標の価値

米国で2021年12月に公開された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『マトリックス レザレクションズ』の映画館での興行収入は、『スパイダーマン』が圧倒的な大差で勝利を収めたように見える。だが、ストリーミング配信や配信との同時公開が主流になっていく時代において、もはや「成功」の基準が変わりつつあるのではないだろうか?

グーグルが「ソノスの特許を侵害」との判断で、これから起きること

スマートスピーカーの分野において、グーグルがソノスの5件の特許を侵害しているとの判断を、米国際貿易委員会が下した。これによりグーグルはスマートスピーカーの一部の機能を“落とす”ことになるが、今後は何らかのかたちで和解へと進む可能性も指摘されている。