ビットコインの価格が乱高下を繰り返している。本来なら政府や金融機関に管理されていない“反通貨”がもたらす理想主義的な役割を“開発者”のサトシ・ナカモトは期待していたはずが、いつの間にか投機的な資産になり、犯罪活動の際に好まれる決済方法になってしまった。いったいどこを間違えてしまったのだろうか──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィによる考察。
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SFが生み出した造語を網羅する「SF歴史辞典」は、“未来を予測してきた過去”を編み上げる
スペースコロニーの初登場から超空間へ最初にジャンプした人物までを網羅する「SF歴史辞典」は、SFがこの1世紀で定義してきた造語(および新解釈)の歴史を1,800項目にもわたって網羅している。「未来を予測することを使命としていた過去の記録」であるそれは、SFというジャンルを再定義するだけでなく、造語や新解釈がさまざまな作家の作品間でつながり合っている事実を明らかにすることで、こうした言葉に現実世界での物語も与えている。
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大自然を自転車で疾走する「Lonely Mountains: Downhill」は、哲学的な気づきも与えてくれる:ゲームレヴュー
雄大で美しく危険な山道をマウンテンバイクで走り抜けるゲーム「Lonely Mountains: Downhill」。従来型のエクストリームスポーツのゲームのようにスリルを楽しめるだけでなく、大自然の美しさが哲学的な洞察も与えてくれる──。『WIRED』US版によるレヴュー。
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SF用語の歴史がつなぐマルチヴァースへの旅路、今月注目のストーリー:SNEAK PEEKS at SZ MEMBERSHIP(2021年8月)
未来をプロトタイピングする『WIRED』日本版の実験区である「SZメンバーシップ」で会員向けにお届けする8月各週の記事のテーマは、「Sci-Fi」「ENVIRONMENT」「VACCINE」「DIVERSITY」だ。7月のコンテンツやイヴェントの内容を振り返りながら、8月公開予定の記事から注目のストーリーを紹介する。
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完全な脱炭素化で7,400万人の命が救われる? ある研究が示した「炭素の社会的費用」の重さ
1トンの二酸化炭素を大気中に放出するごとにもたらされる損失を貨幣価値に換算する「炭素の社会的費用」に、気候変動に起因する損失や異常高温によって失われる人命のコストを加えた数値が論文として発表された。推定では世界経済が2050年までに完全に「脱炭素化」して二酸化炭素排出量がゼロになると、全世界で7,400万人が熱波関連の死から救われるという。あくまで思考実験という位置づけの論文だが、実世界の政策にも影響を及ぼすかもしれない。
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米国のスマートシティ関連コンテストでも、中国企業はここまで躍進している
米国で実施されているスマートシティ関連の技術コンテストなどで、ここ数年は中国の企業や大学の躍進が目立つ。この分野における中国政府の多額の投資が実ったかたちだが、結果としてAIの人材や技術の育成への投資の重要性が改めて浮き彫りになっている。
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SF作家かあるいは預言者か? 中国SFと陳楸帆の「空想科学リアリズム」
国内であらゆる文学賞を受賞し、近年評価の高い作家を数多く輩出する中国SFの第一人者となった陳楸帆(ちんしゅうはん)。代表作『荒潮』は国内外で注目を集め、評論家は彼のことを「中国のウィリアム・ギブスン」と称賛する。だが中国人SF作家は商業的な圧力だけでなく、政治的な風向きにも敏感でなければならないし、地政学的な覇権争いにも巻き込まれている。中国の現実に「空想科学リアリズム」で対峙する陳の超現実的な生活に追る。
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「Audi Q4 e-tron」は、EVを静かに浸透させるに十分な素質を備えている:試乗レヴュー
Audiが発表したコンパクト電動SUV「Audi Q4 e-tron」。EVを浸透させていく上で重要な戦略モデルと位置づけられているこのモデルを試乗してみたところ、乗り心地は快適で過度にスポーティではなく、EVがアーリーアダプターだけでのものではないことを実感させてくれる──。『WIRED』UK版による試乗レヴュー。
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オリンピック選手の猛烈なプレッシャーと、自身のメンタルヘルスについて語ることの意味
常にプレッシャーに晒されるスポーツ選手にとって、オリンピックという舞台は特別な意味をもつ。こうしたなか、東京オリンピックでは米国の体操選手のシモーン・バイルスが自身の精神状態を理由に競技を棄権するなど、自身のメンタルヘルスについて明かす事例が出始めている。こうした動きはアスリートのメンタルヘルスに対するわたしたちの考え方や、わたしたち自身の生活におけるメンタルヘルスの考え方にとって重要な転機になるかもしれない。
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「顧みられない病気」の治療薬を、DeepMindは人工知能で見つけ出す
アルファベット傘下の人工知能(AI)企業であるDeepMindが、希少な疾患の治療法を見つけるべくAIの活用を加速させている。非営利団体「顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ(DNDi)」との提携を通じて、主に途上国で猛威を振るう伝染病などの治療薬候補を見つけ出しているのだ。その先には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬の開発も視野に入っている。
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